スマートな住まい・住まい方WEB

平成29年5月13日(土)
省エネ住宅普及啓発アカデミー
〜これからの横浜の省エネ住宅・住宅地の在り方を地域で考える〜

今回は、地域の視点、建物単体の視点の両方から省エネ住宅普及について考えました。

地域の視点として、現在、住環境マネジメントによる住宅地の価値づくりに取り組んでおられる横浜市立大学国際総合科学部まちづくりコース長である斎藤広子教授より「住環境の価値を高めるために必要なこと」というタイトルの講義をいただきました。

最初に、斎藤教授自身が、金沢文庫の空き家再生に、金沢区と京浜急行の協力の元に学生と共に取り組んだ国際交流型シェアハウスや、大森ロッジ(木造長屋リノベーション)、求道学舎(コーポラティブハウス)などの建物再生事例が紹介されました。続いて、そのようなストック再生の基礎となる既存建物評価(インスペクション)について国内外の現状をお話しいただきました。最後に空き家をリノベーションして地域を元気にしているエリアマネジメントの実例を、横浜、世田谷、大阪、長野、松戸などのケースを幅広く紹介していただき、個々の建物の再生を地域の再生につなげていくことの可能性が示されました。

続いて、東北芸術工科大学の竹内昌義教授から、日本のエネルギー事情をベースに、車と同じく建物も燃費が大切で、特に住宅の場合は「断熱性能」をいかに上げていくことが大事かという講義をいただきました。
竹内教授が山形で取り組まれた産官学連携のエコハウスプロジェクトの説明に続いて、紫波町における取り組みが紹介されました。紫波中央駅前に出来る新しい分譲住宅地では、町独自のエコハウス基準を設け、施工者の指導を合わせて行い、消費エネルギーが従来の1/3の住宅・住宅地の実現が試みられています。地域産業としての省エネ住宅普及を、エリア単位で、自ら選択して価値を高めていくことの可能性が示されました。

最後に、二人によるディスカッションをして頂きました。その中で、竹内教授自身も参加した南房総で古い木造住宅をセルフビルドで断熱改修するワークショップのビデオを紹介して頂きました。断熱改修にはさまざまなレベルがあり、紫波町のようなプロフェッショナルの育成から、市民の誰もが始められるセルフエコリノベーションまであります。そのような取り組みの幅の広さを活かすことが地域再生では大切になっていくという視点が引き出されました。