スマートな住まい・住まい方カフェ
第4回 サードプレイス!
人と人とがつながって、何かがはじまる場所。そんなサードプレイスを持っていますか? スマートな住まい・住まい方カフェの第4回目はサードプレイスがテーマ。ゲストに博報堂ブランドデザインの兎洞武揚さんを迎え、大人の部活動ともいうべき「サードプレイス」のお話を伺いました。
第四回カフェレポート(コーディネーター:東みちよ)
サードプレイスの定義づけ
「昔だったら地縁から、人と人とのつながりが生まれていましたが、今は何かテーマがあってつながりが生まれる。そんな風にサードプレイスも変わってきていると思います。あるテーマや課題のもとに人が集まり、場が必要となって、そこからサードプレイスが作られていくという。私が思うに、最初に場があるのではなくて、関係性が先にあるんですね。そうした人と人との関係性は、社会資本としても機能するのです」
住みびらき、から始まるダイアログ
サードプレイスは何も特別な場所ではなく、まずテーマを設定するところから、作られていきます。例えば、暮らしの場である自宅も、みんなが集まる学びの場に変えることだってできるのです。
「私は自宅に仲間を集める“ウーカフェ”を2年前から行っています。毎回、テーマを決めて、スピーカーをお招きして、来た人同士のダイアログを行うというのが開催趣旨です。政治、経済といった真面目な話題もあれば、絵本を読みながらみんなで話し合うというユニークなものまで。ダイアログの後は、私の手作り料理を無理矢理食べてもらうという仕掛けです。いわゆる住みびらき、というものですが、自宅の使い方としてこのようなものも面白いかな、と。緑区中山の平屋建てを、壁をぶちぬいて開放感を出すことで、30〜40人は集まれるスペースになっています。ここから仕事に発展したものもいくつかあります。これからの日本の教育を、なんとかしようという仲間たちで始めた、未来教育会議 もその一つです。こういう仕事の発生の仕方、動きも、今後は増えていくかもしれませんね」
組織内個人になろう—イマジンヨコハマのその後
兎洞さんがこれまで手がけてきた仕事の中でも、「イマジンヨコハマ」は私たちの記憶に残るイベントです。風車モチーフでおなじみのオープンヨコハマのロゴマークも、イマジンヨコハマに参加した市民の意見から生まれたものでした。 「2009年のイマジンヨコハマは、市民参加の大規模なプロジェクトでした。500人ワールドカフェや、つながりの森、そしてあのロゴマークをみんなで作ることができたのは楽しかったですね。有識者、市役所、ボランティア、さまざまな主体が参加していましたが、実は事業が終わった後も有志で続けていこうということで、“チーム・オープンヨコハマ”を結成したくらいです。ヨコハマのいいこと探しをテーマに対話でつながろう、という活動を続けています。これこそまさにサードプレイスで、仕事とは違うところで、みんながつながっています。今は“働く”をテーマにキャリアデザインカフェを続けています。そこでは企業内で培った経験や知識を活かすことができますし、その場で得られた成果を、仕事にフィードバックすることもできます。つまり“組織内個人”なんですね。組織にいながらも、好きなことをやる、情熱を傾けられることをやる。このような動きは、今後ますます重要になってくるでしょう」
一人ひとりが街の宣伝部
また相模大野では、市民参加型のソーシャルブランディングとして「相模大野宣伝部」を発足。街の新たな開発に先立ち、市民一人ひとりが自分の街を宣伝する仲間となって活動を盛り上げ、活気ある街作りへとつながったそう。
「これまでの街作りは、to Cモデル、行政から市民へと情報を発信してきましたが、これからは市民と一緒に作っていく、with Cモデルへと変化していくでしょう。コミュニティは単に場所を提供するのではなく、そこに暮らす人たちと一緒になって作っていくもの。ハコがハコとしてあるだけでは、人のつながりは育ちません。やりたいことを見つけて人と人のつながりを創り、それを社会資本としていかに活かしていくかがこれからの課題ですね」
未来教育会議 ----教育業界、民間企業、地域、行政、さまざまな主体が立場を超えて一緒に、これからの教育を考えるプロジェクト。創造性や、国境を越えた思考等を備えた人材を育成する。